<福島第1原発>汚染水タンクに中古品 東電は未公表

東京電力福島第1原発で2013年8月に高濃度の放射性物質を含んだ汚染水が組み立て式タンクから漏れた問題で、同型タンクの中に別の建設現場などで使われた中古品が少なくとも約20基あり、今も使用され続けていることが分かった。東電はこれまで中古品の存在を公表しておらず、毎日新聞の取材に認めたものの、漏えいしたタンクが中古品か否かは「回答を差し控える」としている。 【急場の中古品そのまま】広瀬社長「随分古い話ですよね」  また、東電はこれまで同型タンクの耐用年数を5年と説明していたが、取材に対し「中古品でも耐用年数が落ちるとは考えていない」と回答した。だが、タンクを納品したメーカーの関係者は「会社として5年という保証をしているわけではないし、そもそも全く水漏れなしに貯蔵し続けるために造られたものではない」と話し、専門家も耐用年数を疑問視している。  関係者によると、東電は東日本大震災による同原発の事故後、汚染水をためるタンクを東京都中央区のメーカーに注文した。新品は製造に時間がかかるため、同社はリース用に使っていた中古の泥水用円筒タンク約20~30基を11年5月ごろ納品。このタンクは、鋼材をボルトでつなぎ合わせて組み立てる「フランジ型」で、ゼネコンなどに貸し出され、建設現場で一時的に泥水をためることなどに使われていた。  複数の民間調査会社は、同社の11年6月期決算について「原発事故の影響で汚染水を保管するタンクの需要が激増し、減価償却の進んだタンクを販売したため総利益率が高い」などと報告。減価償却が進んでいることから、多くのタンクは製造時からかなりの年月が経過しているとみられる。  同社はその後、同型のタンクを新規製造して納品していたが、13年8月に同型のタンクの継ぎ目から約300トンの汚染水漏れが見つかった。それ以降は継ぎ目がなく水漏れの危険が少ない「溶接型」のタンクを製造・納品する一方、中古品を含めたフランジ型の大半は今も使用されている。  13年8月の汚染水漏えいは、いったん原発敷地内に設置した後に地盤沈下のため解体して別の場所で組み立て直したフランジ型タンク(直径12メートル、高さ11メートル)から漏れたとして問題化。東電は当時の会見で、このタンクを含め敷地内で移設した3基以外、他に使い回したタンクはないと述べ、中古品には一切言及しなかった。漏えい理由については同年10月、「鋼材の間に挟んでいた止水材(パッキン)の一部がずれたため」と発表している。  東電によると、福島第1原発には今年4月22日現在でフランジ型332基、溶接型552基が設置され、汚染水の放射性物質の濃度は最大1リットル当たり4億1000万ベクレル。漏えい対策として、使用中のフランジ型を溶接型に切り替える作業を9月ごろから始めるとしている。【杉本修作、沢田勇】  東電広報部の話 リース品のタンクはあるが、数や製造年月、使用履歴は把握していない。パッキンやボルト、ナットは新品に取り換え、仮にそれ以外が中古品でも耐用年数が落ちるとは考えていない。水張り試験などで問題がないことを確認して使っている。  タンクの構造に詳しい小川進・長崎大大学院教授(土木工学)の話 組み立てと解体を繰り返したタンクにはひずみが生じているとも考えられ、新品と中古が同じ耐用年数とはいえないだろう。そもそも放射性物質を入れるため造られたものではなく、パッキンには放射線による損傷もある。5年も漏水しないと言い切れないのではないか。

毎日新聞 7月23日(水)3時0分配信

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