<IS>資金、湾岸富裕層から…貴金属に替え 元幹部証言

 【カイロ秋山信一】イスラム過激派組織「イスラム国」(IS=Islamic State)で財務担当幹部だったイラク人の男が、イラク警察当局の収容施設で毎日新聞の取材に応じ、ISがサウジアラビアなどペルシャ湾岸諸国の富裕層や、慈善団体を装った支援組織から、多額の寄付を受けていると明かした。イラク当局も同様の情報を把握している。湾岸諸国からISへの資金流入疑惑はこれまでも指摘されてきたが、IS幹部の証言によって確認されたことで、謎に包まれた組織の実態解明に大きく寄与しそうだ。  男はイラク西部アンバル県出身のアブ・ハジル幹部。1969年生まれで、2003年のイラク戦争を契機にISの前身組織に参加。07年に財務担当幹部になり、12年にバグダディ指導者の下で財務担当責任者となった。14年6月にイラク当局に拘束され、バグダッドの警察施設で当局の立ち会いの下、毎日新聞のイラク人助手と面会した。  証言によると、IS支援者が湾岸諸国でモスク(イスラム礼拝所)や慈善団体を通じて資金を集めているほか、ISシンパの富裕層からも寄付を受けている。こうした資金は、身代金目的の誘拐、石油や文化財の密売、実効支配地域の課税、略奪と並ぶ主要資金源になっている。ISは、集めた資金で貴金属などの高額物品を購入し、イラクやシリアの実効支配地域に持ち込み、現地で転売するなどして現金化していたという。多額の現金輸送に伴うリスクを回避するのが狙いとみられる。  また、ISは手持ち資金を海外で運用。イスラム教徒が多く、ISシンパもいるインドネシア、マレーシア、トルコ、湾岸諸国、レバノン、東欧などで、月300万ドル(3億7500万円)の利ざやを稼いでいた。総収入額は14年6月のイラク北部モスルなどへの大規模侵攻前の段階で、月額800万ドル(10億円)に達した。資金はバグダディ指導者の下、バグダディ氏のおい2人と親しい友人3人の計5人で構成する「総務・財務局」が管理していたという。  アブ・ハジル幹部は同局の指示に従い、イラクの実効支配地域にISが独自に設けた行政区(州)へ資金を配分していた。14年4月には、北部ニナワ州に150万ドル▽西部アンバル州に70万ドル▽バグダッドに40万ドルなど、総額600万ドルを割り振ったほか、武器弾薬の調達に40万ドル、メディア戦略に20万ドルを配分した。各行政区の財務担当者と連絡する際は、盗聴を避けるために手紙を使っていたという。  ISは1年前のモスル侵攻後、収入源をさらに拡大。米政府の分析によると、原油密売だけで一時、1日当たり100万ドル(1億2500万円)に急増した。  アブ・ハジル幹部は取材時にもバグダディ指導者に忠誠を誓っており、「この国に強さと栄光を取り戻す存在だ」と主張。また「裏社会に根を張る(ISの)資金が途絶えることはない」と強弁した。  こうした証言内容について、毎日新聞の取材に応じたイラク政府顧問(イスラム過激派対策)のヒシャム・ハシミ氏は「当局の尋問でも同様の情報を得ている」と述べた。  サウジなど湾岸諸国にはISと同様、シャリア(イスラム法)の厳格な適用を理想とするイスラム主義者が一定数存在する。一般的にはISの過激な言動への反発が強く、各国政府もモスクの監視など取り締まりを行っているが、水面下には支援ネットワークが存在するとみられる。毎日新聞 6月14日(日)7時30分配信

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