<安保関連法案>閣議決定 安保政策の歴史的転換

 ◇首相「厳格な歯止め」「抑止力さらに高まる」強調  政府は14日、首相官邸で臨時閣議を開き、自衛隊活動の拡大を図る安全保障関連法案を決定した。集団的自衛権の行使を可能にし、憲法9条に基づく専守防衛を根幹としてきた安全保障政策の歴史的な転換に道を開く内容だ。米軍への後方支援など、自衛隊の海外活動も飛躍的に拡大される。15日に国会に提出し、政権は夏までの成立を目指す。安倍晋三首相は記者会見し「厳格な歯止めを掛けた」と強調したが、民主党など野党は反発を強めており、激しい国会論戦になるのは必至だ。  首相は会見で、「北朝鮮の数百発もの弾道ミサイルは日本の大半を射程に入れている。国籍不明機に対する自衛隊機のスクランブル(緊急発進)の回数は10年前と比べて7倍に増えた。これが現実です」と強調。その上で「日米同盟が完全に機能することを世界に発信することで抑止力はさらに高まり、日本が攻撃を受ける可能性は一層なくなっていく」と述べた。  首相はさらに「戦争法案といった無責任なレッテルは全くの誤りだ」と反論。かつての湾岸戦争やイラク戦争のような戦闘に自衛隊が参加することは「今後とも決してない」と断言し、イスラム過激派組織「イスラム国」(IS)掃討作戦への自衛隊の後方支援参加も「ありません」と否定した。  集団的自衛権の行使容認については「日本近海で米軍が攻撃される状況は、私たち自身の危機だ」とし、昨年7月に閣議決定した武力行使の「新3要件」に関し「三つの要件による厳格な歯止めを法案に定め、極めて限定的に集団的自衛権を行使できることとした」と説明した。  他国軍への後方支援など自衛隊活動の拡大でリスクが高まるとの懸念には「隊員の安全確保は当然のこと。明確な仕組みを設ける」としたが、「自衛隊発足以来、1800人の隊員がさまざまな任務で殉職している。隊員は危険を顧みず職務を完遂することを宣誓したプロフェッショナルだ」と述べた。  世論調査などで反対が根強いことに関しては「法整備は不可欠だと確信している。国会審議を通じ分かりやすく丁寧に説明していきたい」と理解を求めた。  安全保障関連法案は「日本の平和と安全」に関する法案と「国際社会の平和と安全」に関する法案に大別される。  「日本の平和」に関しては、昨年7月の閣議決定に基づき、集団的自衛権を限定的に行使できるよう武力攻撃事態法などを改正。行使できるのは、日本の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される「存立危機事態」の場合とした。  日本周辺有事を想定していた米軍支援のための周辺事態法は、事実上の地理的制約を撤廃し、日本への影響が甚大であれば、地球規模で米軍などを支援できる重要影響事態法案に改定された。  武力攻撃に至らない「グレーゾーン事態」で米軍艦船などを防護するための規定は自衛隊法改正案に盛り込まれた。  「国際社会の平和」に関する法案では、国際社会の平和が脅かされた際に他国軍を後方支援する「国際平和支援法案」を新設。国連平和維持活動(PKO)協力法改正案は、武器使用基準を緩和し、治安維持活動や人道復興支援でPKO以外の活動への参加を可能とする。  政府は14日の臨時閣議で、武装勢力が離島を占拠した場合などで速やかに自衛隊に出動を命じるため、電話による閣議決定で海上警備行動や治安出動を認めることも決めた。【高本耕太、飼手勇介】  ◇責任ある論戦が必要  安倍晋三首相は14日、与党の関連法案了承の報告を受け、「しっかりと国会を通じて丁寧な説明をしていきたい」と語った。首相自身がこう言わなければならないほど、集団的自衛権の行使容認を含む安全保障法制の整備について、国民の理解は進んでいない。  国際的な安全保障環境は確かに悪化している。首相が記者会見で語ったように「もはや一国のみで自国の安全を守ることができない時代」に入っているのも事実だろう。  しかし、悪化した安保環境と今回の法整備がどのようにかみ合うのかについては、十分に説明されたとは言い難い。関連法案の整備が、かえって東アジアの安保環境を悪化させることになるのではないか、という危惧も消えない。  日米同盟を強化する今回の法整備の狙いは、台頭する中国の軍事力をどう抑止するかが根幹にある。だが、首相は、関連法案を成立させ、中国とどう向き合うつもりなのかについて多くを語っていない。  民主党などは集団的自衛権の行使を容認した憲法解釈変更を追及していく構えだ。長年の解釈を一内閣の判断で変えることの是非については徹底的に議論してもらいたい。ただ、野党にも批判だけではなく、日本を取り巻く環境をどう分析し、日本の平和をいかに守るつもりなのか示す責任がある。将来ビジョンの選択肢を国民に示し合う、そんな論戦が求められている。【古本陽荘】毎日新聞 5月14日(木)21時51分配信

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