調査数百時間「気づかず」、米無人機で人質死亡
【ワシントン=白川義和】国際テロ組織アル・カーイダに拘束されていた人質2人が今年1月、米国の無人機攻撃で死亡した問題は、テロ掃討作戦での情報収集の難しさを浮き彫りにした。 オバマ政権は、米地上部隊を送らずにテロ組織幹部を殺害する手段として無人機攻撃の活用を続ける方針だが、より慎重な運用を迫られることになりそうだ。 オバマ大統領は23日、人質の死亡を発表した声明で、パキスタンとアフガニスタンの国境地帯にあるアル・カーイダの施設に標的を定めた際、「数百時間に及ぶ調査」を行っていたが、人質の存在に気づかなかったと認めた。人質死亡に至った事実関係の「全面的な再検討」を指示し、再発防止策を探る方針を示した。 米紙ワシントン・ポストによると、中央情報局(CIA)は標的の施設に4人のアル・カーイダ要員がいるとみていたが、攻撃後、現場からは6人の遺体が運び出された。その後の調査で米国人人質1人とイタリア人人質1人が死亡したことがわかり、ブレナンCIA長官が先週、オバマ氏に報告したという。 オバマ政権は2013年5月、無人機攻撃の指針を定め、「殺害対象の所在を把握し、市民の巻き添えがない」ことを条件に挙げていた。しかし、今回の攻撃では人質だけでなく、殺害目標ではなかった米国人のアル・カーイダ幹部も死亡していた。読売新聞 4月25日(土)10時43分配信