富岡「夜の森の桜」立ち入り今年も流れる
東京電力福島第1原発事故で全域が避難区域にある福島県富岡町の桜の名所「夜の森の桜」について、町は3日までに、観桜のため国が特別に除染した帰還困難区域内への立ち入りを見送ることを決めた。桜並木通りに限定した除染で、住民の安全確保が難しいと判断した。 桜並木通りは全長2.2キロで、うち1.9キロが帰還困難区域。日中立ち入り可能な居住制限区域との境がバリケードで分断されている。環境省は2、3月に除染を実施。車道と歩道を高圧洗浄し、木の根元の堆積物を取り除いた。車道中央の平均空間放射線量(高さ1メートル)は毎時2.5マイクロシーベルトから1.8マイクロシーベルトに低減した。
今回の除染対象は桜並木通りに限定していたため、住民が未除染の路地や宅地に入り込んだ場合、高線量の被ばくが懸念される。帰還困難区域は立ち入り禁止区域で、そもそも許可が必要。制限をなくすと防犯上の問題もある。町産業振興課は「現時点では住民の安全が確保できない」と慎重な判断に至った理由を説明する。
夜の森の桜は町のシンボル。望月義夫環境相が1月、宮本皓一町長の要望を受けて除染方針を示した。町は例年通り「復興への集い」を11日に広野町で開催し、花見として居住制限区域の300メートルをバスで巡る。
同町では昨年1月に国の除染が始まり、2017年3月までの完了が目標。町は早ければ17年4月の帰還開始を目指している。
河北新報 4月4日(土)9時55分配信