<関電・原電>老朽原発廃炉を決定 「40年ルール」初対応
関西電力は17日午前、臨時の取締役会を開き、運転開始から40年を超えた老朽原発の美浜原発1、2号機(福井県美浜町)の廃炉を正式に決定した。関電の八木誠社長は、福井県庁で西川一誠知事と面会し、理解を求めた。日本原子力発電も同日、敦賀原発1号機(同県敦賀市)の廃炉を正式に決め、午後に浜田康男社長が西川知事と会い直接説明する。両社は、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故を受けて施行された改正原子炉等規制法で原発の運転期間を原則40年とした「40年ルール」に初めて対応した。 東日本大震災後、廃炉を決めたのは、事故を起こした東京電力福島第1原発以外では初めて。運転期間が今年中に40年を超える原発は、この日廃炉を決めた3基以外に、九州電力の玄海原発1号機(佐賀県)と中国電力の島根原発1号機(島根県)もあり、両社は18日にも廃炉を決定する見通しだ。 政府は老朽原発の廃炉を促す一方で、原子力規制委員会の審査で「安全性を確認した」とされる原発については再稼働を進める方針だ。 美浜1、2号機と敦賀1号機は、1970~72年に運転開始し、老朽化が進んでいる。改正原子炉等規制法では、原発の運転期間を原則40年とし、例外的に1度だけ最長20年の運転延長を申請できる。しかし、原子炉が老朽化していないか厳しくチェックする特別点検を行った上で、原子力規制委員会の新規制基準をクリアしなければならず、多額の安全対策費用が必要になる。3基は出力規模が34万~50万キロワットと小さく、両社は運転延長しても採算が取れないと判断したとみられる。八木社長は、廃炉決定の理由を「工事費用やこれからの稼働期間を総合的に判断した」と説明した。 廃炉は20~30年かかる長期の作業となるが課題は多い。放射能で汚染された建屋の処分場がないことや、貯蔵プールにある使用済み核燃料の最終的な処分方法は決まっていない。【浜中慎哉、古屋敷尚子】毎日新聞 3月17日(火)10時50分配信