1票の平等「最優先」=参院選初の無効意見-山本裁判官
2013年参院選の1票の格差をめぐる最高裁判決では、裁判官4人が「違憲」の反対意見を述べた。このうち山本庸幸裁判官(元内閣法制局長官)は「投票価値の平等は他に優先する唯一かつ絶対的な基準として、真っ先に守られなければならない」との見方を示し、一部の選挙区について参院選では初めて「即時無効」と判断した。 山本裁判官は「地域によって1票の価値に格差があると、その分だけ政治力にも差が出ることは明らか。憲法が保障する法の下の平等を貫くためには、投票価値の平等が原則だ」と述べた。 さらに「選挙区定数などに関する法改正や国会での検討を経ても1票の価値の平等は守られておらず、改革は遅々として進まない状況にある」とし、違憲と判断した以上は選挙を無効とすべきだと指摘。人口の急激な移動などによって2割程度の格差が生じるのはやむを得ないが、それ以上の格差は許されないとの考えを示した。 一方、鬼丸かおる裁判官(弁護士)は「憲法はできる限り1対1に近い平等を保障している」とした上で、「選挙制度の見直しを求めた09年最高裁判決からの約3年9カ月間で、投票価値の平等を基本とする公職選挙法改正は実現できたはずだ」と述べ、違憲と判断した。 次回の16年選挙に向けて制度見直しの検討が進められている点を考慮し、選挙無効とはしなかったが、「是正が速やかに行われない場合は、選挙の効力について司法が新たな段階に歩を進めるべきだ」と指摘した。(2014/11/26-21:51)時事ドットコム