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脱原発へ、うねり広げる -自然エネ大国目指す =細川護熙元首相インタビュー= 時事ドットコム

2月の東京都知事選で敗退した細川護熙元首相(76)が動きだした。小泉純一郎元首相(72)と再びタッグを組み、「脱原発」の社団法人を結成し、原発推進の安倍政権に対抗する。運動はどこまで広がるのか。細川氏に、今後の展望と意気込みを聞いた。

 -安倍政権が原発回帰の「エネルギー基本計画」を閣議決定したが。

 東京電力福島第1原発事故は全く収束できていないし、放射能の土壌汚染・海洋汚染が広がる危機的状況が続いている。そうした中で、原発を基本的エネルギーに据えるのはいかがなものか。避難を強いられている十数万人の痛みを無視したものだ。福島の事故は、日本人の生き方、文明の在り方を考え直すいい機会になると思っていたが、その機会を失し、旧に復してしまった。

 -日本のエネルギー政策の考え方は。

 日本の自動車産業は、排ガス規制にもかかわらず、むしろそれをバネにして技術革新で競争力を強化し、雇用も飛躍的に増やした。その例からも、原発ゼロを目指すことこそが、日本経済の成長の鍵になると思っている。トップ(首相)が今後は自然エネルギーでいくという大方針を打ち出せば、関連する企業が一斉にそれに乗っかる構図ができ上がる。日本は自然エネルギー大国に生まれ変わるべきです。

 -都知事選出馬は、政界引退以来16年ぶりの政治の表舞台だった。

 25歳以下の人は私の名前を知らないわけです。街頭演説に集まった人から『小泉さんは過去の人、細川さんは歴史上の人』と言われてね。それで教科書を見たら、確かに私のことが載っていた。時代はかなり先に進んでしまっているなあと。街頭ではむちゃくちゃ人が集まったから、ひょっとしたらとも思ったが、どこまで追い込めるか正直全く分からなかった。

 -脱原発で小泉氏と再びタッグ。知事選後は、晴耕雨読の生活に戻ると思ったが。

 知事選であれだけの方々にサポートしてもらい、全国からも多くの声が寄せられたので、引き続き大きなうねりが全国に広がる運動をしないといけないなと。それで、小泉さんと何回か会って準備してきました。

 -どんな活動をするのか。

 「自然エネルギー推進会議」を立ち上げて、全国、特に福島、新潟、青森などの原発立地地域でタウンミーティングをやっていく。そういう活動を通じて(脱原発の)核をつくっていかなければと。ただ、第一義的には選挙には直接関わらない。政治的なコミットはできるだけ避けようと思っています。 原発のない社会の実現に向けて、太陽光・水力・風力発電などを目指す中小企業・団体を大きな企業と結び付けたり、原発に代わる地域振興策を考えたりする。今の大規模発電・電力供給システムをどう変えていくかの政策提言もするし、国内外の学者、自然エネルギー組織とのシンポジウムなど連携、交流も考えている。

 -今秋の福島県知事選で候補者の擁立・支援の可能性は。

 それは考えていません。例えば、頑張っている泉田裕彦知事の役に立つよう、新潟県でタウンミーティングなどはやるでしょう。でも、(選挙では)推進会議としては、ぎりぎり推薦状を出せるかどうかでしょう。

 -小泉氏とはすっかり「同志」になった感じだ。

 面白い関係です。共通するのは、二人とも直感的に動くところ。そこが奇妙に一致する。私が(1993年に)首相指名を受けた最初の記者会見で「先の大戦は侵略戦争だった」と発言したとき、最初にやってきて「良かった」と言ったのは誰だと思います?小泉さんなんですよ。まさか小泉さんにそう言われるとは思わなかった。 集団的自衛権の問題では、彼は正攻法で、「解釈改憲なんて、そんな姑息(こそく)なことはいかん。やるなら、堂々と真っ正面から憲法を改正してやるべきだ」と。彼の言っていることは筋が通っているし、ほとんど私と同意見です。

 -推進会議の活動で二人の露出が増え、政治家としてのイメージがすり減る懸念はないか。

 二人とも本当に露出するのは嫌いですからね。だから、必要に応じて(政治的に)インパクトの強い、ここぞというときに出て行って、物を言うのがいいと思っているんですが…。

 -細川氏の弟子も多い民主党は、原発や集団的自衛権の問題などで音なしの構えだが。

 反対すべきところで反対しないし、音なしよりなお悪い。いつの間にか(原発輸出を可能にする)原子力協定に賛成して、どうかしてるんじゃないか。民主党にはもっとしっかりしてもらいたいね。 野田さん(佳彦前首相)はしっかりしているけど、原発事故で収束宣言を出したのは間違いだった。原発輸出の件では、彼はブレーキをかけなかったのかな。

 -70台後半で政治的になお現役。人生のシナリオとして想定内だったか。

 全く想定外ですね。(この状態から)早く逃げたいと思っています(笑)。

(聞き手=時事通信編集委員・芳賀隆夫)

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